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ATELIER

「 *0213_2:46 」

Feb 13, 2021

蒸し返す、スタジオの匂い、島から帰ったばかりは鼻が効きすぎていて東京の匂いは強かった。滴る汗を、拭うことはせずに、風が冷やしていくのを感じていた。発熱している。音楽がまとわりついて離れない。煮えている血を、皮膚をひっくり返して、夜風に晒す。東の空が赤く焼けてくるのを、波打ち際でじっと、見つめている。瞬きが遅い。二重に瞼がある。重い方、肉体の方の瞼を開くとスタジオだった。波の音が聞こえている。フェーダーを上げ下げしている指は葛西さんの指だ、梅先生がブースの中で作業している。話しかけるタイミングが見つからないほど集中しているからラインをしておく。こんなに近くにいるのに私たちはラインでやりとりしていた。何か食べたい、となって口にするのはケンタッキー、チョコレート、スナック菓子で、なぜかジャンクなものばかり食べたくなる。少し優しいものを、と思って奄美の黒糖を舐めた。

 

突然に,

ぶり返す記憶、今にも触れそうな距離で再生される。様々な時系列の記憶たちが、次から次へと。私のどれくらいの部分が、ちゃんと今に生きているのだろう。ほんのわずかなような気もする。

眠らないと、明日は演奏がある。

 

 

2:45